2017年06月01日

看取り士日記より…bR9〜愛のよろこび〜

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看取り士日記より…bR9
〜愛のよろこび〜
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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん



 ツツジの花があちこちの花壇に咲き踊る。ツツジの花言葉は“愛の喜び”。
「病院から父を連れて帰りたいので、看取り士さんをお願いします」と電話が入る。
 病院の相談室でケアカンファレンスが行われる。担当ケアマネージャーさんから 「看取り士は何をしてくれるの?」との質問に、即座にかかりつけ医の先生が「患者本人とご家族の不安な心に寄り添ってくれる人だよ」と。
 病院からご自宅に帰られた翌朝だった。ご連絡を頂き、直ぐに駆けつける。
 お父様が寝ておられるお部屋からは庭がよく見え、ツツジの香りも漂っている。
「ありがとうございました」「おつかれさまでした」とお伝えする。かかりつけ医から「私は在宅医療を長くやっていますが、やはり病院から戻られてすぐに逝かれる方は多いです。きっと安心されるのでしょうね」との優しいお言葉に、ご家族様はホッと安心なさる。
 お父様のお身体を楽な姿勢にする。お母様にも温かさを感じていただく。ご家族と一緒におむつを交換、衣類を整える。お父様の背中は汗をかいているぐらいポカポカとしている。
「昨日は同じ部屋で一緒に寝ました。いつもなら寝付くことができないのに、熟睡してしまって。3時に確認したときはゴロゴロしておらず、吸引も必要なく安心して寝ていました。ハッとして確認すると呼吸が止まっておりびっくりして。でも、その時はまだポッカポカでした」
 美子さんは、なんで寝てしまったんだろうと、自分を責めていた。「よかったですね。お父様は美子さんがゆっくり眠れたことで安心されたんですね」とお伝えする。

 そして弟さんが到着。「間に合いましたね、お父さん、待っておられましたよ。まだ温かいですよ」と、弟さんに抱きしめていただく。「本当だ、あったかいね」。仕事柄、海外が多い弟さんなのに、ちゃんと帰ってこられる日をお父様は選ばれた。「最期はご本人がプロデュースするんですね」と答える。

 ご家族お一人お一人に触れて抱いて命をバトンして頂き、看取り士の役割は終わる。そしてグリーフケアも完了する。
 死ぬ力は今を生きる私達一人一人が持つものと教えてくださった幸齢者様に感謝  合掌

(担当看取り士 青柳利佳)



【お問い合わせ先】
一般社団法人日本看取り士会
一般社団法人 在宅ホスピス なごみの里
〒701-1145 岡山市北区横井上1609-2-107
TEL 086-728-5772 FAX 086-239-3992
Twitter: @ShibataKumiko

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2017年05月01日

看取り士日記より…bR8〜嬉しくて、嬉しくて〜

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看取り士日記より…bR8
〜嬉しくて、嬉しくて〜
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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん


 桜の花が美しく散り、その命をもって 生きる事を見せてくれる。
 田中さんが離島にボランティアの為に来てくれたのも、こんな季節だった。
 ホテルに宿泊してボランティアをしてくれた。当時、ボランティアさんの数が多く。1か月はお掃除をお願いして、幸齢者様に面会することはできなかった。お掃除ボランティアで一週間が過ぎた頃、こう一言、田中さんが言う。
 「柴田さん、僕は三味線を持って来ました。島を離れる前に一度だけ、幸(高)齢者様にお聞き頂きたい」
 三味線を見慣れない私にも、田中さんの三味線がとても高価な物と一目で分かった。だが一言もそれには触れず、田中さんは離島前に一度だけ幸齢者様に三味線を披露する。彼はボランティア中「はい」と言う言葉以外、使わなかった。
 その世界では「御前様」と呼ばれていた程の僧侶だった。
 「ビハーラ21」を自ら2007年に立ち上げた田中さん。その後、私財を使いながら精神を病む方々、終末を迎えた方々に自ら寄り添そう。そして自らも白血病を発症。重い病を背負うことで、自らの命と向き合い、その最期「嬉しい。嬉しい。嬉しい」とご家族に伝えながら息を切られたと言う。
 田中さんと親交のあった看取り士さんから、次のような話を聞いた。
 住職をご子息に譲られて、病気を背負ってから全く一介の坊主からも外れ、ひとりの念仏者として緩和ケア病棟での活動で、先に定命果たし切るいのちに出遇い続けて、そのいのちから教えて貰われたのでしょう。
 坊守さんに遇ってやってくださいと本堂に行くと、「南無阿弥陀仏」……言ったとたん、もう、嗚咽で、出てきませんでした。それでも、阿弥陀如来に……念仏……を、と。
 見てやってくださいと言われ、余間に掛けられた掛け軸の「真教院釋祐佐」の院号法名、法名の“祐佐”が笑っているんです。思わず、法名、笑っていますね。ああ、良かった、って言いました。
 白血病というものを背負うことで、背負うことが喜びにかわり此方でも彼方でも生きている、いのちに出遇われたのでしょう。
 きっと天国で三味線を美しく奏でながら、私が来るのを待っていて下さる。潔いあの方のして残してくださったものは、はかりしれない。
 潔く生きることが潔く死ぬことと教えてくださった田中さんに感謝   合掌


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2017年04月01日

看取り士日記より…bR7〜青春の喜び〜

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看取り士日記より…bR7
〜青春の喜び〜
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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん



 庭のクロッカスの花が咲き出した。クロッカスの花ことばは青春の喜び。
 看取り士のご依頼を受け4ヶ月。月1度の訪問を重ね、旅立ちの日を迎える。

 お母様の呼吸が乱れていると娘さんから連絡。お声をかけてもほとんど反応がない。呼吸は浅く肩で息をしているという状態。
 お母様に触れて呼吸を合わせる。残された時間はそう長くはないとはっきり感じた時に、旦那様がデイケアから駆けつけて下さる。
 認知症の旦那様で状況をどこまで理解して頂けるのだろうと心配したが、それは余計な事。「どうぞ声をかけてあげて下さい、触れてあげて下さい、抱きしめてあげて下さい」とお話しすると、照れや戸惑いなどなく、自然に抱きしめられる。「愛しているよ。楽しい人生だったね。ありがとう、ありがとう。子供達もみんな感謝しているよ」と。
 ふと気がつくと、幸子さんの頬がぽっとピンク色になっていた。息を合わせる時は「ちょっと難しいね」と笑いながら合わせてくださる。
 そうして、旦那様がいらして1時間半程経った頃、とても穏やかなお顔でゆっくり息を切られる。優しく抱きしめ頬を合わせながら「ありがとう、幸子のお陰で幸せでした」と何度も何度も言葉にして伝えられる。
 息子さん夫婦が到着されたのはそれから1時間半余り経った頃。息子さんがその手を握って、「まだ温かい!」と嬉しそうな顔をなさる。「間に合って良かったですね」と言葉をかける。
 息子さんがお父様に最期の様子を尋ねられると、ちっとも苦しそうではなかったと、いつ息が止まったかわからないほど穏やかだったと、にこにこしながら何度も何度もくり返してお話になる。涙あり、笑いありの出来事全てが感謝へと変わる。そして、青春の喜びがそこにあった。
 担当看取り士からこんな言葉が届いた。
言葉で伝えるのは難しいですが、愛と感謝に溢れた空間を全身で感じる事ができました。この経験は、私がこれから生きて行く上で大きな糧になるでしょう。看取り士になって本当に良かったと思っています。
 看取りはこんなに素敵な仕事です! 

 看取りの場面は愛にあふれていることを、また命がけでお教え下さった幸子さんに感謝  合掌

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2017年03月01日

看取り士日記より…36〜花に祈りを〜

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看取り士日記より…bR6
〜花に祈りを〜
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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん


 こぶしの白い花が寒さに耐えて美しく咲き、私を励ましてくれる。
 そんな中に1本の電話が入る。
 「母は105歳です。今 1人で自宅にいます。もう食事が摂れなくなって1週間。24時間点滴でがんばってくれています。
 母の思いのままに自宅で暮らしています。でも僕は仕事があります。母の家はとても遠く、毎日は行けない。僕も働かないと食べられないんです。助けてください」
 105歳。それはどんなに辛く長い人生だったことだろう。車もなく、農耕で暮らしを立て、戦争を経て、食べるものもない中、子供たちを育てあげられたとのこと。
 そして「母は一人でも家に居たいと言っていました」とため息混じりにお話は続いた。

 長く暮らされたその家には、お母様の呼吸が、お家の木々や屋根に宿っているのであろう。普段、何気なく使われている布団にも、温かい毛布にも、お母様の息遣いが染み込んでいるのだろう。
 今24時間点滴ではあるが、きっとお母様の中では、あたたかい空気が周りにあふれているのだろうと容易に想像できる。
 「看取り士と無償ボランティア・エンゼルチームの仕組みがあります。どうぞお使いください。きっとお役に立てます」
と言うと、「ケアマネジャーと相談します」と電話は切れた。

 そして今、私はお母様の平安を祈り続けている。こぶしの花に祈りを込めて。
 思えば2002年、私は100歳の幸齢者様に出会いこの活動を始めた。人は何のために生きるか?
 人として最も重要な尊厳という自己決定権。
 この尊い権利を全うできる社会こそが真の豊かさと教えてくださった。初心に立ち戻らせていただいた凛と生きる幸齢者様に感謝  合掌

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2017年02月01日

看取り士日記より…35〜慈愛に包まれて〜

看取り士日記より…bR5
〜慈愛に包まれて〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

  なずなの花の可憐さに、捧げる愛を教えられる季節。
  看取り士養成講座も終わり、ほっとした私に夜遅く1本の電話。
「母が……」
  かねてからご相談中の娘さんからだった。
「直ぐに行きますね」と言うが、「約束の27日に来て下さい。そして柴田さんが来るまで母が待つように祈りをお願いします」とのこと。娘さんが言われたとおりに一晩中祈る。
  朝の光がまぶしい。親子の愛は全てに勝ると教えられた私。輝く朝を迎えられた事に感謝、感動したその夜に「母が旅立ちました。でも看取り士の柴田さんに来て欲しい」そんなご連絡をいただく。
  旅立たれて13時間というお母様のご自宅にうかがう。お母様の慈愛がお部屋中にあふれている。ドライアイスをどけ、美しいお母様の頬に私の手を触れる。しばらくするとあたたかくなり、私の心が満たされ、私の身体が熱くなる。そしてお母様の肩に、腕に、手に触れる。私の手に娘さんの手を重ねながら触れ続ける。
  突然、娘さんは腹ばいになり、しっかりとお母様を抱き抱え「ありがとう。ありがとう」と、その目からは涙があふれでる。穏やかに、お母様の魂のエネルギーを娘さんは受け取られた。これこそがグリーフケアと私は感じている。
  以前、離島暮らしの時、人は臨終の後7日間はその身体に魂が戻れると言われ、7日間お身体がそのままであったことを思い出す。
  
  ノートルダム清心女子大学の保江邦夫先生が、先日出版された著書『神と人をつなぐ宇宙の大法則』の中でこう述べられていた。
「看取り士は自我を取ってあげて、霊魂がさまよわずにすむ、お手伝いをしているような気がします」
  
  お母様を安らぎの世界に送られ、娘さんもまた、お母様の命のエネルギーを受け取られる。こんな尊い場面にいさせていただける幸せを噛み締めている。
  人間って素晴らしい。生かされていることの喜び、歓喜を感じさせていただける旅立ちという尊い場面。私を命懸けで導いて下さる方々に感謝   合掌



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2017年01月04日

看取り士日記より…34〜輝く瞳に誓う〜

看取り士日記より…34
〜輝く瞳に誓う〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 妖精の輝きを花言葉に持つ赤い木瓜の花が可憐に咲き私の心を晴れやかにする。
 出張の朝、私の携帯電話に連絡が入る。
 「柴田さん、施設入所中の母が救急車で病院に運ばれた。意識がないというのだけれど、“母さん、命のバトンタッチができていないから、待ってね”と祈ると、私の心が強くなれた。
 そして今、母さんの意識が戻った。嬉しくて、嬉しくて、そのことを伝えるために電話したの」との喜びの声だった。

 その後、鹿児島県、住吉小学校での講演会。かわいい児童の皆様のキラキラ輝く笑顔が眩しい。命のバトンのお話。
 先ずは「誰が最初に自分の声を聞くのでしょうか?」と問うと、当たり前の様に「みんな」と答える。 
 「その前に聞くのは?」と問う。
 しばらく考えて嬉しそうに誇らしげに「自分」と答えてくれた。だからみんな良い言葉を使おうねと言うとウンウンと頷く。
 私の著書『ありがとう おばあちゃん』の絵本をDVDで読み聞かせ、人は命のバトンを最期に渡すと話す。
 最後の感想では、「小さな頃亡くなったおじいちゃんは僕に命をバトンしてくれたのですね」「今、認知症のおばあちゃんと暮らしています。何回も同じことを言うので、嫌と思っていたけど僕に命をくれる人なので、これからおばあちゃんを、大事にします」「親孝行します」と素晴らしい感想をくれた。
 子供達の感想は、私の話を今の暮らしに落とし込み自分の出来る事に展開していく。この素晴らしい子供達の才能に感動した。

 現在、看取り士204人、無償ボランティア・エンゼルチームは全国に233支部。看取りに寄り添うやさしい人々の輪はどんどん広がりつつある。
 愛の中で生まれた私たち。愛の中で旅立てる社会をこの子たちに手渡したいと願うばかりである。キラキラと輝く瞳で素直さを教えてくれた児童の皆様に感謝  合掌


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2016年11月01日

【看取り士日記より…32】〜カフェ看取りーとに集いて〜

【看取り士日記より…32】
〜カフェ看取りーとに集いて〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 裏庭のクローバーに目がとまる。
 四葉には一枚ずつ意味があると言う。
 一枚、勇気、一枚、愛情、一枚、信頼、一枚、希望。

 今日は「カフェ看取りーと」(デス・カフェ)の日。デス・カフェはおよそ10年前、スイスの社会学者バーナード・クレッタズ氏が最愛の妻を失くした事をきっかけに開催したのが始まりである。
 自分の理想の死に方や身近な人の死で感じたことなど、死にまつわる話題なら何でも語り合う。
 自らの死について考えて語り合うことは、人生そのものを語ることでもある。
 今までの人生を見つめ直し、よりよく生きようとする前向きな気持ちになる方が多い。
 中には、親しい人の死を受け入れられず、安らぎを求めてやってくる方もいる。
 死生観1万人調査によれば、日本人で死生観を持たれている方はわずかに9.5%。
「死んでも悔いが残らないと感じている。延命治療の希望もない」
 死への準備をしている人は準備をしていない人に比べ、死生観が養われている、と調査の結果が報告されている。
今日の「カフェ看取りーと」の中ではこんな語らいがあった。
 「死は終点ではなく、行くべき場所へ心と想いが行くと思っています。
 生まれた理由を自分で持ち、生き方をチャレンジしていくためと思います」
 「子供の頃から母が死んでしまう恐怖を抱えて、その恐怖を克服したいと言う思いで参加しました。
 父親の死を経験し別れのプロセスの大切さを知りました。そこに温かいものがあるとは思えませんでした」
「死は身近にあって遠いもののように思えていました」
 皆様のお話が尽きない。

 生きること、死ぬことは一枚の紙の表裏。 風が吹いて裏が出た時、人は何を想うのか?
   温かい心がそばに有れば良いと逝く人々が教えて下さった。
 私自身一度しかない人生、最期に「良い人生だった。
 ありがとう」とみんなに言いながら「ありがとう」の声で送られたい。
 「カフェ看取りーと」終了後、何故か温かいそんな気持ちで帰路についた。
 ご参加頂いた心やさしい皆様に感謝
 合掌


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2016年10月01日

【看取り士日記より…31】〜看取りは第二の誕生〜

【看取り士日記より…31】
〜看取りは第二の誕生〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 秋の空を見上げながら、看取らせていただいた方々を想う。傍らに萩の花が美しい。そんな中、看取り士のNさんから連絡をいただく。
 「お忙しいのに、朝早くにすみません。叔母の件ですが昨夜から血圧が下がりはじめ、痛みからか苦しい顔をするようになりました。最期を迎える時はなにをしたらいいのでしょうか?体温がなくなるまで、保冷剤などいれなくてよいですよね。しっかり、看取り、魂のバトンを受け取ります」
 私は彼女の質問にこう答える。
「大丈夫です。皆様でおば様との楽しかった思い出にありがとうを添えてお話下さい。聞こえています。痛みは孤独。七割は触れる事で取れます。大丈夫です。手を置いてぬくもりをおば様に渡して下さい。
 保冷剤は12時間必要ありません。ゆっくり呼吸を先ずは自分がして下さいね。おば様の、そして皆様の平安をお祈りしております。共にいます」
 彼女は何日も寄り添い続け、叔母さまの魂と重なった。
 「水曜日、朝の5時40分、叔母が旅立ちました。3日の夜あたりから、血圧が安定せず、酸素も最大に入っていました。おしっこの出も……足先から浮腫みも……祈る思いで、毎日付き添いました。大丈夫、大丈夫。一緒にいるからね。ずっとずっと、一緒にいるからね。身体を摩りながら、話しかけました。
 私の言葉が聞こえたのか、何度か首を動かしてくれて、ちゃんと、聞こえてる。と感じました。痩せた身体を摩りながら、涙がとまりませんでした。
 私がいるから、1人じゃないよ。一緒にいるからね。ただ、ただ話しかけ、祈りました。
 呼吸の間隔がだんだん、ゆっくりとなり、生ききる姿をみせていただき、生まれてきてくれて、ありがとう。と感謝でいっぱいになりました。
 私の為に、生ききることを、命がけで教えてくれた叔母。呼吸がとまり、温かい身体をだいて、ありがとうを何度も何度もいいました。目でみるもの、耳で聞こえるもの、匂い、体で感じる全てが、心地よく幸せな気持ちになりました。
 今も、これからも、ずっとずっと、私の心に叔母がいてくれている。ありがとう、ありがとうと感謝しかありません」
 先日お会いすると、Nさんは今までにはないほどの清々しい氣をまとって私の前にあらわれた。
 看取りが再誕生であると教え導いてくださったお二人に感謝     合掌

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2016年09月01日

【看取り士日記より…30】〜愛は奇蹟を〜

【看取り士日記より…30】
    〜愛は奇蹟を〜

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柴田久美子さん

 朝顔の花が支柱にしっかりと蔓を絡ませ、「固い絆」と言われるその花言葉の通りに、美しく咲いている。
 余命1ヵ月と診断されたお父様(78歳)。
「柴田さん、病院から家に帰りたがっています。最期まで家で幸せに暮らしてもらいます。お願いします」
 こんなお電話をいただいた。10数年前より、度重なるがんの手術、既に食事が取れない状態であった。依頼者の娘さんは食事療法を長く学んでこられた方だった。癌の快復に良いと言われるものを何時間もかけてスープに仕上げる、すりつぶして流動食として渡す。たくさんの涙ぐましい努力をなさっていた。
 傍で、お母様がプリンを冷蔵庫にお入れになった。
 それを見たお父様は「食べたい」と、そうおっしゃった。
 お嬢様は「砂糖が体を冷やすからダメよ」と即座に拒否。
 「どうぞ差し上げてください」と言うと、遠慮がちにお父様は一口、一口。
 嬉しそうに、みるみる全て食べられた。
娘さんは、その光景に驚きながらも、娘さんの強い愛、「生きていてほしい」と言う願いが、お父様の限られた時間を不快と言う時間に変えていることに気づかれた。
落胆の表情を浮かべながらも、「頑張りすぎていたんですね」と、微笑まれた笑顔は安堵したかのようだった。

 終末期における食は「好きなものを、好きなだけ、好きな場所で」。
 人生の最期に、このぐらいの贅沢をしていただくことが豊かさではないだろうか。青空の下で、家族に囲まれて庭の好きな花を愛でながら――それはどれほど豊かな時間になることだろう。
 娘さんは冷えた麦茶を飲みながら、「急ぎすぎていたのですね。
 まず父のペースに合わせ、ゆっくり歩くことから始めます」と。
 愛は全てを越えて必ず結果を出す。娘さんの食事療法は「身体には良いのよ。お父さんが大事だから、少しずつ食べてね」と、少しずつ差し上げられることをお勧めした。
 「柴田さん、必ず父に奇跡をおこします」と微笑まれた。
 燃えるような家族の愛を涙とともに教えてくださった皆様に感謝     合掌

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2016年08月01日

【看取り士日記より…29】〜空間は慈愛に満ちて〜

【看取り士日記より…29】
〜空間は慈愛に満ちて〜

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 あさがおのやさしい青色に幼い日の思い出を重ねる季節。
 私が親しくさせていただいている在宅医師、長尾和宏先生のブログの中に下記のような文章があった。
 6回目か7回目の呼吸困難でのSOS電話が早朝五時にかかってきた。またいつもと同じ希望だったので、大病院に連絡して救急搬送となった。
 しかし到着寸前に呼吸が停止し、救急救命師や医師たちが心臓マッサージをしたという。あらゆる蘇生処置を施したが、今回ばかりは蘇生できず、亡くなられたとのこと。蘇生処置成功が続いても、当然、いつかは限りがあるのだ。命はどこかで終わりがくる。

 そんな文章をため息まじりに読ませていただいた後、お電話をいただき、恵子さん(86歳)のもとにかけつける。ご自宅に訪問し、そのドアを開けた瞬間、透明感の高い空間に驚く。そしてお部屋の中に入ると、その空間はやさしい光に包まれていた。
 人は旅立ちの時、25mプール529杯分の水を瞬時に沸騰させるほどのエネルギーを出すと言われている。この膨大なエネルギーがお家、全体を清らかさで包んでいた。そこには、ほのかに甘い香りすら漂っていた。空間は愛、それを確信した時間だった。
 お身体に触れると、言葉を失うほどに穏やかで安らかだった。ご家族にそれをお伝えすると、ご家族の中に温かい空気がさらに広がる。息子さんは「抱きしめるなんて何十年ぶりだろう」と照れながらお母様を抱かれる。
 人は、赤ん坊として光の存在そのもので生まれてくる。そしてまた旅立つとき、私たちは光の存在として旅立っていく。私たちは死を見るのではなく、命そのもの、光に寄り添う存在なのだ。
 その後、娘さんからこんな言葉をいただいた。「大役を終えた母は孫たちひとりひとりの到着を待って皆に触れられながら、やすらかに静かに息を引き取りました。とても静かで神聖な時間を親族皆で過ごしました。心豊かで幸せな最高の看取りを経験することができました」
 空間を光に変えて、愛する人々に抱きしめられて旅立たれた恵子さんに感謝 合掌

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『家族を看取る』心がそばにあればいい
著・国森康弘/発行・平凡社

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 実際に家族を看取るにはどうすればいいのか。当の本人には、何かすることがあるのだろうか。忙しすぎる家族には何ができるのか。その実践方法や介護の工夫、心構えも紹介する。自宅でなくてもどこでも良い。家族の力というものは、何もしなくても、ただそばにいるだけでも十分に発揮されることが分かってもらえると思う。(「まえがき」より)

 国森康弘氏(写真家・ジャーナリスト)は京都大学大学院経済学研究科、イギリス・カーディフ大学ジャーナリズム学部修士課程修了。神戸新聞記者を経て、フリーのフォトジャーナリストとして、イラク、ソマリアなどの紛争地や貧困地域を取材。国内では、医療・少子高齢化社会の問題や元日本兵士、野宿労働者を取材し、新聞・雑誌に数多く寄稿している。

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