2016年11月01日

【看取り士日記より…32】〜カフェ看取りーとに集いて〜

【看取り士日記より…32】
〜カフェ看取りーとに集いて〜

柴田さん写真-顔写真-4.jpg
日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 裏庭のクローバーに目がとまる。
 四葉には一枚ずつ意味があると言う。
 一枚、勇気、一枚、愛情、一枚、信頼、一枚、希望。

 今日は「カフェ看取りーと」(デス・カフェ)の日。デス・カフェはおよそ10年前、スイスの社会学者バーナード・クレッタズ氏が最愛の妻を失くした事をきっかけに開催したのが始まりである。
 自分の理想の死に方や身近な人の死で感じたことなど、死にまつわる話題なら何でも語り合う。
 自らの死について考えて語り合うことは、人生そのものを語ることでもある。
 今までの人生を見つめ直し、よりよく生きようとする前向きな気持ちになる方が多い。
 中には、親しい人の死を受け入れられず、安らぎを求めてやってくる方もいる。
 死生観1万人調査によれば、日本人で死生観を持たれている方はわずかに9.5%。
「死んでも悔いが残らないと感じている。延命治療の希望もない」
 死への準備をしている人は準備をしていない人に比べ、死生観が養われている、と調査の結果が報告されている。
今日の「カフェ看取りーと」の中ではこんな語らいがあった。
 「死は終点ではなく、行くべき場所へ心と想いが行くと思っています。
 生まれた理由を自分で持ち、生き方をチャレンジしていくためと思います」
 「子供の頃から母が死んでしまう恐怖を抱えて、その恐怖を克服したいと言う思いで参加しました。
 父親の死を経験し別れのプロセスの大切さを知りました。そこに温かいものがあるとは思えませんでした」
「死は身近にあって遠いもののように思えていました」
 皆様のお話が尽きない。

 生きること、死ぬことは一枚の紙の表裏。 風が吹いて裏が出た時、人は何を想うのか?
   温かい心がそばに有れば良いと逝く人々が教えて下さった。
 私自身一度しかない人生、最期に「良い人生だった。
 ありがとう」とみんなに言いながら「ありがとう」の声で送られたい。
 「カフェ看取りーと」終了後、何故か温かいそんな気持ちで帰路についた。
 ご参加頂いた心やさしい皆様に感謝
 合掌


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2016年10月01日

【看取り士日記より…31】〜看取りは第二の誕生〜

【看取り士日記より…31】
〜看取りは第二の誕生〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 秋の空を見上げながら、看取らせていただいた方々を想う。傍らに萩の花が美しい。そんな中、看取り士のNさんから連絡をいただく。
 「お忙しいのに、朝早くにすみません。叔母の件ですが昨夜から血圧が下がりはじめ、痛みからか苦しい顔をするようになりました。最期を迎える時はなにをしたらいいのでしょうか?体温がなくなるまで、保冷剤などいれなくてよいですよね。しっかり、看取り、魂のバトンを受け取ります」
 私は彼女の質問にこう答える。
「大丈夫です。皆様でおば様との楽しかった思い出にありがとうを添えてお話下さい。聞こえています。痛みは孤独。七割は触れる事で取れます。大丈夫です。手を置いてぬくもりをおば様に渡して下さい。
 保冷剤は12時間必要ありません。ゆっくり呼吸を先ずは自分がして下さいね。おば様の、そして皆様の平安をお祈りしております。共にいます」
 彼女は何日も寄り添い続け、叔母さまの魂と重なった。
 「水曜日、朝の5時40分、叔母が旅立ちました。3日の夜あたりから、血圧が安定せず、酸素も最大に入っていました。おしっこの出も……足先から浮腫みも……祈る思いで、毎日付き添いました。大丈夫、大丈夫。一緒にいるからね。ずっとずっと、一緒にいるからね。身体を摩りながら、話しかけました。
 私の言葉が聞こえたのか、何度か首を動かしてくれて、ちゃんと、聞こえてる。と感じました。痩せた身体を摩りながら、涙がとまりませんでした。
 私がいるから、1人じゃないよ。一緒にいるからね。ただ、ただ話しかけ、祈りました。
 呼吸の間隔がだんだん、ゆっくりとなり、生ききる姿をみせていただき、生まれてきてくれて、ありがとう。と感謝でいっぱいになりました。
 私の為に、生ききることを、命がけで教えてくれた叔母。呼吸がとまり、温かい身体をだいて、ありがとうを何度も何度もいいました。目でみるもの、耳で聞こえるもの、匂い、体で感じる全てが、心地よく幸せな気持ちになりました。
 今も、これからも、ずっとずっと、私の心に叔母がいてくれている。ありがとう、ありがとうと感謝しかありません」
 先日お会いすると、Nさんは今までにはないほどの清々しい氣をまとって私の前にあらわれた。
 看取りが再誕生であると教え導いてくださったお二人に感謝     合掌

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2016年09月01日

【看取り士日記より…30】〜愛は奇蹟を〜

【看取り士日記より…30】
    〜愛は奇蹟を〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 朝顔の花が支柱にしっかりと蔓を絡ませ、「固い絆」と言われるその花言葉の通りに、美しく咲いている。
 余命1ヵ月と診断されたお父様(78歳)。
「柴田さん、病院から家に帰りたがっています。最期まで家で幸せに暮らしてもらいます。お願いします」
 こんなお電話をいただいた。10数年前より、度重なるがんの手術、既に食事が取れない状態であった。依頼者の娘さんは食事療法を長く学んでこられた方だった。癌の快復に良いと言われるものを何時間もかけてスープに仕上げる、すりつぶして流動食として渡す。たくさんの涙ぐましい努力をなさっていた。
 傍で、お母様がプリンを冷蔵庫にお入れになった。
 それを見たお父様は「食べたい」と、そうおっしゃった。
 お嬢様は「砂糖が体を冷やすからダメよ」と即座に拒否。
 「どうぞ差し上げてください」と言うと、遠慮がちにお父様は一口、一口。
 嬉しそうに、みるみる全て食べられた。
娘さんは、その光景に驚きながらも、娘さんの強い愛、「生きていてほしい」と言う願いが、お父様の限られた時間を不快と言う時間に変えていることに気づかれた。
落胆の表情を浮かべながらも、「頑張りすぎていたんですね」と、微笑まれた笑顔は安堵したかのようだった。

 終末期における食は「好きなものを、好きなだけ、好きな場所で」。
 人生の最期に、このぐらいの贅沢をしていただくことが豊かさではないだろうか。青空の下で、家族に囲まれて庭の好きな花を愛でながら――それはどれほど豊かな時間になることだろう。
 娘さんは冷えた麦茶を飲みながら、「急ぎすぎていたのですね。
 まず父のペースに合わせ、ゆっくり歩くことから始めます」と。
 愛は全てを越えて必ず結果を出す。娘さんの食事療法は「身体には良いのよ。お父さんが大事だから、少しずつ食べてね」と、少しずつ差し上げられることをお勧めした。
 「柴田さん、必ず父に奇跡をおこします」と微笑まれた。
 燃えるような家族の愛を涙とともに教えてくださった皆様に感謝     合掌

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2016年08月01日

【看取り士日記より…29】〜空間は慈愛に満ちて〜

【看取り士日記より…29】
〜空間は慈愛に満ちて〜

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 あさがおのやさしい青色に幼い日の思い出を重ねる季節。
 私が親しくさせていただいている在宅医師、長尾和宏先生のブログの中に下記のような文章があった。
 6回目か7回目の呼吸困難でのSOS電話が早朝五時にかかってきた。またいつもと同じ希望だったので、大病院に連絡して救急搬送となった。
 しかし到着寸前に呼吸が停止し、救急救命師や医師たちが心臓マッサージをしたという。あらゆる蘇生処置を施したが、今回ばかりは蘇生できず、亡くなられたとのこと。蘇生処置成功が続いても、当然、いつかは限りがあるのだ。命はどこかで終わりがくる。

 そんな文章をため息まじりに読ませていただいた後、お電話をいただき、恵子さん(86歳)のもとにかけつける。ご自宅に訪問し、そのドアを開けた瞬間、透明感の高い空間に驚く。そしてお部屋の中に入ると、その空間はやさしい光に包まれていた。
 人は旅立ちの時、25mプール529杯分の水を瞬時に沸騰させるほどのエネルギーを出すと言われている。この膨大なエネルギーがお家、全体を清らかさで包んでいた。そこには、ほのかに甘い香りすら漂っていた。空間は愛、それを確信した時間だった。
 お身体に触れると、言葉を失うほどに穏やかで安らかだった。ご家族にそれをお伝えすると、ご家族の中に温かい空気がさらに広がる。息子さんは「抱きしめるなんて何十年ぶりだろう」と照れながらお母様を抱かれる。
 人は、赤ん坊として光の存在そのもので生まれてくる。そしてまた旅立つとき、私たちは光の存在として旅立っていく。私たちは死を見るのではなく、命そのもの、光に寄り添う存在なのだ。
 その後、娘さんからこんな言葉をいただいた。「大役を終えた母は孫たちひとりひとりの到着を待って皆に触れられながら、やすらかに静かに息を引き取りました。とても静かで神聖な時間を親族皆で過ごしました。心豊かで幸せな最高の看取りを経験することができました」
 空間を光に変えて、愛する人々に抱きしめられて旅立たれた恵子さんに感謝 合掌

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『家族を看取る』心がそばにあればいい
著・国森康弘/発行・平凡社

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 実際に家族を看取るにはどうすればいいのか。当の本人には、何かすることがあるのだろうか。忙しすぎる家族には何ができるのか。その実践方法や介護の工夫、心構えも紹介する。自宅でなくてもどこでも良い。家族の力というものは、何もしなくても、ただそばにいるだけでも十分に発揮されることが分かってもらえると思う。(「まえがき」より)

 国森康弘氏(写真家・ジャーナリスト)は京都大学大学院経済学研究科、イギリス・カーディフ大学ジャーナリズム学部修士課程修了。神戸新聞記者を経て、フリーのフォトジャーナリストとして、イラク、ソマリアなどの紛争地や貧困地域を取材。国内では、医療・少子高齢化社会の問題や元日本兵士、野宿労働者を取材し、新聞・雑誌に数多く寄稿している。

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2016年07月01日

【看取り士日記より…28】〜甘えることの尊さ〜

【看取り士日記より…28】
〜甘えることの尊さ〜
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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 天国に咲く花と言われているクチナシの白い花が美しい。
 8月14日、『第3回 日本の看取りを考える全国大会』を新宿区角筈区民ホールにて行う。今回の基調講演は國森康弘氏。なごみの里を2年間取材し、平凡社新書『家族を看取る 〜心がそばにあればいい』を書いたフォトジャーナリストだ。
 彼は、その著書の中で、「見守る勇気」として84歳のマツコさんのケースを紹介している。
 旅立ちの2日前、私がマツコさんに語った言葉。
 「痛かったら遠慮なさらず洋子さんに甘えてくださいね。お母さんは娘さんにとって宝です。娘さんに宝を磨かせてやってください。あっち(死後の世界)には亡くなったお父さんやお母さんがいます。だから何も心配ないですよ」
 ここ2、3日の間、全く開かなかった目をパッチリと開けて、マツコさんは涙を流し、私の手をしっかり握って「ありがとうございます」と言われた。その2日後、マツコさんは安らかな寝顔で逝かれる。

 イラク、ソマリアなどの紛争地、貧困地域を取材していた彼は、たまたま新聞で私の「幸せな最期」と言う記事を読み、興味を持って取材を始めた。日本に幸せな最期があるのならば、その光景を伝えたいと。
 実際に家族を看取るにはどうすれば良いのだろうか。忙しすぎる家族に何ができるのか。その実践方法や介護の工夫、心構えを紹介したいと。
 家族の力と言うものは、何もしなくてもただそばにいるだけで十分に発揮されることを伝えたいと言う。
 看取り士と無償ボランティア「エンゼルチーム」の存在が、旅立つ方々のご家族のお力になれることをこの全国大会でお伝えしたい。私の願いを聞き届けてくださった國森先生に感謝  合掌


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2016年06月01日

【看取り士日記より…27】〜納得、満足な最期とは〜

【看取り士日記より…27】
〜納得、満足な最期とは〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 藤の花が美しく咲く。藤の花は蔓が巻きついて大きくなるので「決して離れない」そして「優しい」と言われている。

 こどもの日が終わりその翌日、早朝1本の電話をいただく。
 電話の声が震えていた「妻が旅立ちました」と 。「教えられたように抱きしめて送りました。うまくできたかどうかはわかりませんが、柴田さんにお会いしてよかった」5月5日こどもの日、猫のこと、庭のお花のこと、暮らしのひとつひとつが彼女の傍らにあった一日だったという。
 子供さんやお孫さんに精一杯愛されて、彼女がその命を燃やし切った。
 突然のことでと、ご主人が驚きを伝えられた。そして、ともに泣いた。
 死が敗北なんて誰が言い始めたのだろう。
 自分の病気の意味や存在意義に気付く時、死は決して敗北ではなく、納得、満足にかわる。
 彼女のメッセージがその想いを伝えてくれる。
 私が生きた証は、息子と2人の孫にDNAのかたちで受け継がれている。
 死に向かっていた身体と心やっと現世の身体と心 そして魂の合意が出来ました。
 こんな私ですが、誰かのお役にたてたら・・・・
 旅立ちのほんの1ヶ月前、「誰かのお役に立ちたい。
 笑顔になれるように」と。身体の辛さに負けない強さ、それが真のやさしさと彼女は教えてくれた。
 命を燃やし、私を導いて下さった彼女に感謝  合掌

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2016年05月01日

【看取り士日記より…26】〜宇宙大の慈愛〜

【看取り士日記より…26】
〜宇宙大の慈愛〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 都忘れの清楚な花にひとときの安らぎを想う。
 そんな中1本の電話を受け取る。余命告知を受けながらも懸命に生きることを選択し続ける女性からだった。「柴田さん、私はまだ生きていていいの?」こんな言葉から始まった。「どこか痛いところはありますか?辛いことはありますか?」「食べるものが逆流するの。それがつらい」
 たくさんのお話を聞きながら、「大丈夫です。病気の時くらい、わがままで良いんです」と言葉を添える。
 翌日、私は彼女を訪ねる。
 「お迎えが来ていますか?」と問うと、「まだ生きていろと言うことね。だれも迎えに来ないのよ」と初めて微笑まれた。
 手足に触れながら、豊かな時間を過ごす。 彼女の周りは清々しいほどにやさしい空気に包まれていた。
 長い時間が流れ「眠くなった。でも、もったいないから寝たくない」そういいながらも、寝息が聞こえてきた。
 ご本人とご家族の希望で無償ボランティア、エンゼルチームの声掛けをする。
 エンゼルチームはお一人に10人のボランティアを配置する。皆様に呼びかけると、すぐに1週間分のスケジュールが埋まった。
 私の間違いでお昼の2時を深夜の2時と思われたボランティアさんは、わざわざ仕事が終わり次第すぐに駆けつけてくださった。深夜2時、身内でもない人のために新幹線に乗り、ホテルを取ってのボランティア。彼女の情熱に胸が熱くなる。
 これほどまでに他者を思うことができる、人間の計り知れない愛の深さに感動と感謝で涙した。
 私たちの夢はすべての人が最期、愛されていると感じて旅立てる社会作り。
 この夢を共にする多くの仲間たちの存在は、私の、そして社会全体の宝であると確信した夜になった。
 自らの身体を使って私に宇宙大の慈愛を教えてくれる彼女に感謝   合掌

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2016年04月01日

【看取り士日記より…25】〜温もりのある豊かさとは〜

【看取り士日記より…25】
  〜温もりのある豊かさとは〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 3月初旬、長野は冷たい雪だった。
 長野は私にとって思い出深い場所。今から15年前、『畳の上で死にたい』というテレビ番組で、幸(高)齢者様が寝たきりで独居でありながら、ヘルパーさんの訪問だけで暮らされている映像が放映されていた。

 私はこの映像に魅せられて長野に出向き、テレビに映っていらした男性にお会いした。
 「本当にお一人で大丈夫ですか」と、手を握りながら聞く私の言葉に「最期まで、たとえ雪でヘルパーさんが来られなくなったとしても、私はここで暮らしたい」そう力強くおっしゃったのが心に残る。

 今回の講演は大町市の地域包括支援センターからのご依頼。2025年、この国は団塊世代の高齢化が進み、また医療費削減から看取りの場が自宅へとシフトして行く。その中心となるのが地域包括支援センター。
 控え室からお手洗いに行くと、80代の女性が私を見つけ、声をかけられた。
 「一人暮らしでも、私はずっと我が家で暮らしたいです」
 そのお姿を今は亡き母に重ねた私は、思わずその女性を抱きしめる。初対面にもかかわらず、その女性はその場で大粒の涙を流された。
 雪の中でのお一人暮らしはどんなにか不安だろう。この女性との出会いは私の心に火をつける。懸命に生き、最期、自分の思いがかなう社会。そんな社会を創りたい――そう私は壇上で皆様にお話しをさせていただいた。

 講演後、控室で担当の課長さんが私に向かって熱く語ってくださる。
 「柴田さん、僕は看取る者の安心を形にするのが役割と思い、その中で医療と福祉の連携を訴え続けてきました。
 今、改めて『看取り士』の役割を広めていきたいと思います」
 人生最期の一番大事な時、わがままで我慢をしなくても、それを支える人たちがいること。それが本物の豊かさだと女性の震える声が教えてくださった。
 声をかけてくださった幸齢者様の勇気と、皆様とのご縁に感謝  合掌

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【関東地区の看取り士養成講座】
◇4/17(日)〜4/22(金)
      関東地区研修所(東京都内)
◇5/20(金)〜5/27(金)
   養成講座カナダツアー(柴田久美子)

【第3回 日本の看取りを考える全国大会】
8月14日(日曜日) 14:00〜17:00
新宿区立角筈区民ホール入場料:2000円
【問い合わせ先⇒なごみの里】
TEL/FAX 086-728-5772

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2016年03月01日

【看取り士日記より…24】〜看取りに臨む者の役割〜

【看取り士日記より…24】
  〜看取りに臨む者の役割〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん

 薄黄色の蝋梅の花が私に慈愛を教えてくれる。
 故郷、出雲より看取りの相談を頂く。
 10年前、私をテレビで観て、お母様(87歳)が「この方に最期をお願いしたいね」とおっしゃられたというご縁だった。
 遠方に嫁いだ娘さん(50歳)からのご依頼。施設に入居なさったお母様は自然死を希望。日に日に食事が取れなくなっていく中で、初めての看取りという体験の中で戸惑っている部分も大きいとのこと。施設の介護職の皆様も看取りまでのケースがなく、どう対応してよいのか分からない。お部屋をのぞいてお休み中の時は、おむつ交換をしないこと。そっと手を触れて温もりを分かち合う時間を持つことをお願いする。
 それが看取りに臨む者の役割。看取りとは、スピリチュアルコミュニケーション。言葉ではない交流がそこにあった。
 そして旅立ちの当日、3姉妹で母を囲んで過ごされる。彼女の長年の夢が叶う。お母様は眠るように旅立たれた。その腕の中で看取られた、ご依頼いただいた娘さんは、「50数年生きてきた人生の中で最高の時間でした」と語られた。
 そして私は初七日までの暮らし方を伝えさせていただく。
 「まず、お母様は全部聞こえています。
お母様のお話をたくさん皆様でなさってくださいませ。皆様が仲良くお話下さる事を何より、望んでおられます。
 万葉集にもあるように初七日まで魂は肉体を自由に出入り出来ます。
 お母様がお好きだったものを皆様がしっかり食べて下さい。お母様は未だ皆様を通して、感じることが出来ます。特に香りを召し上がられますので、お好きだった香りの中でお過ごし下さいませ。初七日の間も、魂が重なる時間です。
 しっかり時間をかけて魂を重ねていただきたく思います。
 皆様の生きる力はお母様の分まで輝くことでしょう。そしてお母様の人生を重ねて生きていかれます事が何よりお母様のお喜びです」こうして、旅立つ方の魂を重ねて次の世代が生きていくことが何より尊いこととまた教えられる。
 命がけで導いてくださったお母様の真心に感謝 合掌

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【関東地区の看取り士養成講座】
◇3/18(金)〜3/23(水)
関東地区研修所(東京都内)
◇4/17(日)〜4/22(金)
      関東地区研修所(東京都内)
◇5/20(金)〜5/27(金)
養成講座カナダツアー(柴田久美子)

【第3回 日本の看取りを考える全国大会】
8月14日(日曜日) 14:00〜17:00
新宿区立角筈区民ホール入場料:2000円

【問い合わせ先⇒なごみの里】
TEL/FAX 086-728-5772

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2016年02月01日

【看取り士日記より…23】〜凜として〜

【看取り士日記より…23】
        〜凜として〜

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日本看取り士会  会長
柴田久美子さん


 雪をかぶった椿の花が潔く生きることを教える。
 多重がんと診断されたお父様(67歳)を幸せに看取りたいとお電話を頂く。いつどこに転移や再発をするかわからない不安な状態の中、家に帰りたいと願われたが叶わず、奥様の不安を受け取って断念され、そして病院でついに食事が取れなくなったとのことだった。
 「全て妻に任せます。妻に看取ってもらいます」と、覚悟なさったそのお言葉が印象的で潔かった。
 そしてついに意識不明に。お父様は望まない点滴をつけられ、娘さんには苦しそうに見えたが、意識をなくし身体を手放したお父様はそれすら覚悟の上だったと私には思えた。そして、ひたすらベッドサイドで手を握り、涙を流された奥様。奥様の不安すら受け入れられたお父様の覚悟に涙する。
 病院でとか、自宅でとかではなく、医療の形にかかわらず、全てを受け入れて旅立たれた後の笑顔は、何よりも家族全員の救いとなった。
 ご家族全員が長い間しっかりとお父様のお身体を抱きしめて看取られた。

 家族が集まってひとつのテーブルを囲み、ご飯を食べること、ただおしゃべりをしながらテレビを見ること、ご飯の後のティータイムを楽しむこと。こんな日常の様々な当たり前の時間。そんな時間が涙の中にもご家族の皆様の会話の中によみがえり、温もりが広がる。
 何かを言う、何かをするよりも、ただ本人を想い、寄り添ってそばにいることの大きな意味を教え導いてくださった方々に感謝 合掌


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【関東地区の看取り士養成講座】

◇2/17(水)〜2/22(月)
 関東地区研修所(東京都内)

◇3/18(金)〜3/23(水)
 関東地区研修所(東京都内)

◇5/20(金)〜5/27(金)
 養成講座カナダツアー(柴田久美子)

【問い合わせ先⇒なごみの里】
TEL/FAX 086-728-5772

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