2016年08月01日

【看取り士日記より…29】〜空間は慈愛に満ちて〜

【看取り士日記より…29】
〜空間は慈愛に満ちて〜

柴田さん写真-顔写真-4.jpg

 あさがおのやさしい青色に幼い日の思い出を重ねる季節。
 私が親しくさせていただいている在宅医師、長尾和宏先生のブログの中に下記のような文章があった。
 6回目か7回目の呼吸困難でのSOS電話が早朝五時にかかってきた。またいつもと同じ希望だったので、大病院に連絡して救急搬送となった。
 しかし到着寸前に呼吸が停止し、救急救命師や医師たちが心臓マッサージをしたという。あらゆる蘇生処置を施したが、今回ばかりは蘇生できず、亡くなられたとのこと。蘇生処置成功が続いても、当然、いつかは限りがあるのだ。命はどこかで終わりがくる。

 そんな文章をため息まじりに読ませていただいた後、お電話をいただき、恵子さん(86歳)のもとにかけつける。ご自宅に訪問し、そのドアを開けた瞬間、透明感の高い空間に驚く。そしてお部屋の中に入ると、その空間はやさしい光に包まれていた。
 人は旅立ちの時、25mプール529杯分の水を瞬時に沸騰させるほどのエネルギーを出すと言われている。この膨大なエネルギーがお家、全体を清らかさで包んでいた。そこには、ほのかに甘い香りすら漂っていた。空間は愛、それを確信した時間だった。
 お身体に触れると、言葉を失うほどに穏やかで安らかだった。ご家族にそれをお伝えすると、ご家族の中に温かい空気がさらに広がる。息子さんは「抱きしめるなんて何十年ぶりだろう」と照れながらお母様を抱かれる。
 人は、赤ん坊として光の存在そのもので生まれてくる。そしてまた旅立つとき、私たちは光の存在として旅立っていく。私たちは死を見るのではなく、命そのもの、光に寄り添う存在なのだ。
 その後、娘さんからこんな言葉をいただいた。「大役を終えた母は孫たちひとりひとりの到着を待って皆に触れられながら、やすらかに静かに息を引き取りました。とても静かで神聖な時間を親族皆で過ごしました。心豊かで幸せな最高の看取りを経験することができました」
 空間を光に変えて、愛する人々に抱きしめられて旅立たれた恵子さんに感謝 合掌

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『家族を看取る』心がそばにあればいい
著・国森康弘/発行・平凡社

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 実際に家族を看取るにはどうすればいいのか。当の本人には、何かすることがあるのだろうか。忙しすぎる家族には何ができるのか。その実践方法や介護の工夫、心構えも紹介する。自宅でなくてもどこでも良い。家族の力というものは、何もしなくても、ただそばにいるだけでも十分に発揮されることが分かってもらえると思う。(「まえがき」より)

 国森康弘氏(写真家・ジャーナリスト)は京都大学大学院経済学研究科、イギリス・カーディフ大学ジャーナリズム学部修士課程修了。神戸新聞記者を経て、フリーのフォトジャーナリストとして、イラク、ソマリアなどの紛争地や貧困地域を取材。国内では、医療・少子高齢化社会の問題や元日本兵士、野宿労働者を取材し、新聞・雑誌に数多く寄稿している。

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posted by たまゆら at 08:00| Comment(0) | 介護日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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